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主な研究テーマ:

研究1:近隣環境の健康影響 – なぜある地域の住民は健康的なのか?

研究2:統計調査の方法論 – 社会や地域をうまく測るにはどうしたらよいか?

研究3:社会関係資本の地域分析 – 地域社会のつながりの源泉はどこにあるのか?

研究4:地理学の科学計量学 – 地理学はどうやって発展してきたのか?

研究5:NGO/NPOの地理学 – 非営利・非政府組織はどこに拡がるか?

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研究1:

近隣環境の健康影響 – なぜある地域の住民は健康的なのか?

生まれてきた国や住んでいる都道府県によって平均寿命が異なることは、良く知られた事実です。一方、近年の研究は、人々の健康がより身近な場所(近隣)の環境の影響を受けるということを示してきました。健康・長寿で知られる日本の地域には、何が存在しているのでしょうか?運動や食事、睡眠、喫煙などの生活習慣に影響を与える地域の特徴とは、いったい何でしょうか?

[主な出版物]

Hanibuchi T, Nakaya T, Yonejima M, Honjo K 2015. Perceived and Objective Measures of Neighborhood Walkability and Physical Activity among Adults in Japan: A Multilevel Analysis of a Nationally Representative Sample. Int. J. Environ. Res. Public Health 12: 13350-13364.

埴淵知哉・中谷友樹・竹上未紗 2015. 近隣環境と健康関連QOL―日本版総合的社会調査を用いた分析. 地理学評論 88: 591-606.

埴淵知哉 2013. 近隣環境の健康影響を探る. E-journal GEO 8: 66-77.


研究2:

統計調査の方法論 – 社会や地域をうまく測るにはどうしたらよいか?

プライバシー意識の高まりや生活時間の多様化によって、社会調査の回収率は現在危機的な状況にあります。国が実施する国勢調査ですら、その例外とはいえなくなりました。このことは、地域分析に対してどのような影響を及ぼすでしょうか?この調査困難な時代を乗り越えるために、インターネット調査をはじめとする新たな調査法をどう研究利用すればよいでしょうか?

[主な出版物]

埴淵知哉・村中亮夫(編) 2018. 『地域と統計―<調査困難時代>のインターネット調査』ナカニシヤ出版.


研究3:

社会関係資本の地域分析 – 地域社会のつながりの源泉はどこにあるのか?

「無縁社会」ともいわれる現代において、地域社会のつながりに注目が集まっています。社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)とは、このような地域のつながりを総称する概念で、地域住民間の信頼・規範・ネットワークから構成されます。社会関係資本は、時代によって変化すると同時に、空間的な差異も伴っています。つまり、社会関係資本が豊かな地域もあれば、つながりを欠く地域も存在します。この違いはなぜ生まれるのでしょうか。なぜある地域の住民は、他の地域よりも、互いを信頼したり助け合う傾向が強いでしょうか?

[主な出版物]

埴淵知哉 (編) 2018. 『社会関係資本の地域分析』ナカニシヤ出版.

Hanibuchi T, Murata Y, Ichida Y, Hirai H, Kawachi I, Kondo K 2012. Place-specific constructs of social capital and their possible associations to health: A Japanese case study. Social Science & Medicine 75: 225-232.

Hanibuchi T, Kondo K, Nakaya T, Shirai K, Hirai H, Kawachi I 2012. Does walkable mean sociable? Neighborhood determinants of social capital among older adults in Japan. Health & Place 18: 229-239.


研究4:

地理学の科学計量学 – 地理学はどうやって発展してきたのか?

地理学という学問は、一つの分野の中に自然・社会・人文領域を包含することから、いわば「科学の縮図」とみなすことができます。この地理学における論文生産や共同研究の特徴、またその歴史的な変遷から、科学の成り立ちや研究の促進/阻害要因について何がいえるでしょうか?

[主な出版物]

埴淵知哉 2016. 『地理学評論』における掲載論文および著者の特徴―1980年以降の変化. E-journal GEO 10: 127-135.


研究5:

NGO/NPOの地理学 – 非営利・非政府組織はどこに拡がるか?

NGO/NPOは、「非営利・非政府性」を有する組織であり、政府や企業とは異なります。しかし、地理的な側面についてはどうでしょうか。国境や行政界などのテリトリーをもつ政府や、大都市への集中を特徴とする企業と比べて、NGO/NPOは地理的にどういった特徴をもつのでしょうか。脱領域的でフラットな組織イメージをもつNGO/NPOは、「国境」や「都市」、「地域社会」とどうかかわるのでしょうか?

[主な出版物]

埴淵知哉 2011. 『NGO・NPOの地理学』明石書店.